鈴虫寺
(華厳寺)
臨済宗永源寺派

鈴虫寺


一年中、鈴虫の鳴き声が絶えない鈴虫寺。幸福地蔵に茶菓子のサービスと、どことなく娯楽性を感じるこの寺は、寺社仏閣にありがちな重苦しさや堅苦しさがなく、「行列のできる寺」である。住職の「鈴虫説法」もまた人気の秘訣なのだろう。お茶をいただきながら、鈴虫のBGMのなか語られる話は、わかりやすく、一風変わっていておもしろい。そして、帰りにはぜひとも、ひとつだけ、地蔵様にお願い事をしておきたい。叶ったあかつきにはお礼参りも忘れずに。

○鈴虫寺の歴史
江戸中期・享保8(1723)年に鳳潭上人の創建。鳳潭上人は、12歳で上洛、比叡山延暦寺で修行し、南都六宗(華厳宗・法相宗・律宗・三論宗・成実宗・倶舎宗)の一つである華厳宗の再興に力を注いだ学僧である。創建時、華厳宗の復興を願って大華厳寺と号したが、明治元(1868)年に慶厳が入寺して臨済宗と改められ、現在は禅寺となっている。最近になって、鈴虫が一年中鳴くことから「鈴虫寺」と呼ばれるようになり、願い事をかなえてくれるという幸福地蔵の伝説もあって、若年層の人気を集めている。

・鈴虫寺の鈴虫
「人間は、虫のように無心になって生きていくことが大切」と悟りを開いた先代の住職。その思いから始まったのは、秋にしか鳴かない鈴虫を一年中鳴かせるという試みだった。鈴虫の寿命はわずか110日、そのうちきれいな羽音を鳴らすのは20日ほどである。特殊な飼育法を研究し、鈴虫が過ごしやすい環境にするために冷暖房や湿度、照明にも大変な気を配り、28年を経て、毎日ふ化させることに成功した。いまでは多い時には1万匹、少ない時でも2〜3千匹の鈴虫が、一年中鳴き続けている。

○鈴虫寺のみどころ
七仏の庭


七仏の庭
釈迦誕生以前の過去仏を表した石庭。三角竹、四角竹、黒竹、黄竹など珍しい竹が植えられ、市街や東山三十六峰が望める。

幸福地蔵


幸福地蔵
わらじ履きなのが珍しい。普通の地蔵にはこちらから出向いて祈りごとをするのだが、この地蔵はぞうりを履いて願いをかなえに来てくださるそうな。自分の住所と名前をしっかりお伝えすることが大切らしい(引っ越したときは転居先を伝えるのを忘れずに)。

幸福御守


幸福御守
幸福地蔵の前で、両手の手のひらに、御守の「幸」の文字が見えるようにはさむ。そして手を合わせたまま、名前、住所を言って、願い事をひとつだけ祈る。身の丈にあわない願い事や、他人の不幸を願うことは禁物。…とはいえ、自力本願のはずの禅寺で、なぜ願い事がかなうのかは疑問である。



・妙徳山華厳寺(鈴虫寺)
 京都市西京区松室地家町31
 京都バス「苔寺」バス停徒歩3分・阪急嵐山線「松尾」駅徒歩15分
 9:00〜17:00
 拝観500円




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