園城寺
(三井寺)
天台宗寺門派

金堂
▲金堂: 本堂。日本四箇大寺の一で鎮護国家の道場であり、天智天皇の御念持仏と伝えられる霊像、弥勒菩薩を本尊とする。現在の建物は、豊臣秀吉の遺志によって北政所が慶長4(1599)年に再建した。正面、側面とも7間、一重、入母屋造で桧皮葺。建物全体は和様で統一され、木割太く、全体に低めで軒の出深く、大変美しい建築で、国宝に指定されている。


滋賀は大津、琵琶湖を見渡す地にそびえる園城寺。その眺めのすばらしさは古くから知られ、親しまれている。景色もさることながら、天台宗の重要な一派をなす寺として、歴史も古く、境内に並ぶ伽藍の数々は、風格を感じずにはいられない。京都にある寺とは違った風情を楽しんでみるのも、また一興ではなかろうか。

○園城寺の歴史
奈良時代、天智・弘文・天武三帝の勅願により、弘文帝の皇子・大友与多王が自分の邸宅である田園城邑を投じて建立されたのが始まり。天武帝より「園城」の勅額を賜り、長等山園城寺と称した。俗に、三井寺と呼ばれるのは、境内に天智・天武・持統天皇の3帝の御産湯に用いられた霊泉が「御井」と呼ばれていたものを、後に開祖智証大師が三部灌頂という当時の厳かな儀式の法水に用いたことに由来している。
平安時代に大友氏の氏寺であった園城寺に円珍(智証大師814〜891)が入り、天台別院として再興。長等山(354m)の山腹に点在する三井寺の伽藍の様子は、近江八景の「三井の晩鐘」に描かれ、古くから景勝の地として知られた。なお、主題となった江戸時代初めに造られた鐘は、現在も、金堂横の鐘楼の中にあり、毎年除夜の鐘に使われて、趣深い音を聞かせてくれる。中世に長く続いた延暦寺(天台山門宗)との争いを象徴するかのように、門前は、穴太積みの石垣と堀割で固められ、古い伝統と歴史を物語っている。長い歴史の上では再三の兵火にあい焼失したが、豊臣氏や徳川氏の手によって復興し、広大な境内には、安土・桃山時代の建築美を誇る数々の建築物が立ち、堂々たる威厳と風格を漂わせている。

・智証大師
開祖智証大師円珍和尚は、弘仁5(814)年讃岐国の生まれ。母は弘法大師の姪に当たる。大師は15歳で比叡山に登り、19歳で得度受戒、そして12年の籠山修行に入り、その間に、大師一生の信仰を決定づける、黄不動尊を感得する。秘仏として伝わる国宝黄不動尊(金色不動尊)画像である。貞観元(859)年園城寺初代長吏となり、清和天皇より仁寿殿を賜り、唐院を建立、園城寺を中興した。貞観10(868)年には、第5代の天台座主となり、その後天台宗の長として24年にわたって、日本仏教の発展の為に尽くし、寛平3(891)年10月29日、78歳をもって比叡山山王院において入寂。延長5(927)年、醍醐天皇より智証大師の諡号が贈られた。

○園城寺のみどころ
三重塔


三重塔
もと奈良の比曽寺にあったものを、慶長6(1601)年、徳川家康が園城寺に移したもので、重要文化財に指定されている。3間3間、本瓦葺の塔で、細部様式上から鎌倉末〜室町初期頃の建築である。本尊は釈迦3尊を安置する。

仁王門


仁王門
重要文化財。室町時代中期の宝徳3年(1451)の建築で、左右に運慶作の密迹金剛力士像が安置されている。東近江の常楽寺にあったものを慶長6年、徳川家康が園城寺に移したもので、蟇股など細部意匠の大変美しい門である。

一切経蔵


一切経蔵
毛利輝元公の寄進で、慶長7年、山口の国清寺の経蔵を移築した禅宗経堂である。室町初期の建築と考えられ、宝形造で桧皮葺き、外観は柱間3間の3間、屋根は二重となっている。また内部の一切経を納める八角輪蔵は、千鳥破風のついた珍しいものである。重要文化財。

弁慶の引き摺り鐘


弁慶の引き摺り鐘
延暦寺の僧兵だった弁慶が戦利品として園城寺から比叡山までひきずり上げたが、比叡山でついたところ鐘の音が出ず、ただイノー・イノーと鳴った。怒った弁慶が、イニけれりゃイネと谷底に投げ捨てたため、後に三井寺に戻った、と伝えられる。

鐘楼(三井晩鐘)


鐘楼(三井晩鐘)
金堂の敷地内にあり、三井の晩鐘で世に知られ、近江八景のひとつ。平等院、神護寺と共に日本三銘鐘のひとつに数えられ、音色で有名である。慶長7年、准三宮道澄が弁慶の引摺鐘を模鋳したもの。

閼伽井屋(あかいや)


閼伽井屋(あかいや)
天智、天武、持統の三天皇の産湯に使われたという、「三井寺」の名前の由来にもなった泉の湧き出ている場所に建てられたものであり、重要文化財に指定されている。格子を通して内部が見えるが、水の湧き出し方がそう激しくないにも拘わらず、「ゴボッ、ゴボッ」と大きな音を立てている。

左甚五郎の龍


左甚五郎の龍
閼伽井屋の正面に、有名な左甚五郎作と伝えられる龍の彫刻がある。むかしこの龍が夜な夜な琵琶湖に出て暴れたために、困った甚五郎が自ら龍の眼玉に五寸釘を打ち込み静めたと伝えられている。今もこの龍は、静かに閼伽井屋の正面で三井寺を見守っている。



・長等山園城寺
 大津市園城寺町246
 京阪電鉄大津線「三井寺」駅下車徒歩10分
 8:00〜17:00
 拝観450円




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