仁和寺
真言宗御室派

五重塔
▲五重塔: 重要文化財。江戸初期に建立。和様で各層の屋根の大きさが似た、近世の五重塔の様式をとる。全高は33メ−トルで、規模はあまり大きくないものの、小高いところにあるため、市内のいたるところで眺めることができる。五重塔の初重には壇が設けられ、東西南北の各方向にそれぞれ「四方仏」が安置されていて、内部の柱や天井まわり、壁面などは極彩色の仏像が飾る。


「桜の開花がニュースになる国って、すてきじゃないですか」とも紹介され、名勝にも指定されている御室桜。背丈より少し高いくらいの、かわいらしい里桜は、過ぎ行く春を告げる京の風物詩として親しまれている。桜もさることながら、境内には楓も多く、夏の葉楓、秋の紅葉、冬の雪景色と移ろう季節ごとに違った感動を与えてくれる。京洛の美しい四季を楽しみたいなら、仁和寺まで足を運んでみては、いかが。

○仁和寺の歴史
第58代光孝天皇が西山御願寺(にしやまごがんじ)の建立を発願、次の宇多天皇(867〜931)が仁和4(888)年に完成。「御願寺」と称する寺院は、皇室の私寺を指すが、完成と共に年号をもって寺号と定められた。宇多天皇は延喜4(904)年に仁和寺に御室(法皇の御所)を建立、崩御されるまでこの御室御所に住まわれた。以来、明治維新までの約1000年の間、皇族や貴族などが出家して住まいする特定の寺院(門跡寺院)の筆頭とされ、これが仁和寺を別名「御室御所」というゆえんで、いまでも本坊は御殿と呼ばれている。
平安時代の中期から鎌倉時代にかけて皇室の尊崇と貴族の庇護のもと、子院も含めて70有余を数えるという大伽藍で壮観を極め、寺域も大内山から双ヶ丘に至る南北4キロ、東は衣笠山から西の広沢の池まで8キロという広大なものであったといわれる。しかし、真言宗の衰退に加え、応仁の乱により全て焼失し、荒廃するが、百数十年を経て、江戸時代になってようやく徳川家光により再興されることになる。御所時代にはなかった二王門、中門や五重塔もこのとき新築された。それらは明治20(1887)年の火災で惜しくも焼失してしまうことになるが、明治の終わりから大正の初めにかけて再建され、現在、伽藍の建造物のほとんどが国宝や重要文化財に指定されている。

○仁和寺のみどころ
二王門


二王門
守護尊の二王像を収める。京都の三大門のひとつで、堂々とした風格を備えながらも、和様建築のためどことなく穏やかな印象を受ける。

白書院


白書院
明治の大災の後、仮宸殿として最初に建てられた建物。白木の柱を用いたところからこのように呼ばれる。三室ある室内は福永晴帆画伯の襖絵で飾られている。

黒書院
柱や天井の格子、障子の縁などを黒漆で塗ったのでこのように呼ばれるようになった。旧安井門跡の寝殿を移築したもの。5室ある室内の襖絵は堂本印象画伯の描いた墨絵で、画題によって柳の間、松の間、秋草の間、竹の間、葵の間などと呼ばれる。

宸殿


宸殿
勅使門、霊明殿などとならんで、京都府技師であった亀岡末吉氏の設計。優美な桧皮葺(ひわだぶき)の屋根、木曽の御料林の最高級の用材、神経の行き届いた細部の意匠など、宮殿にふさわしい。内部には床、違い棚、帳台構などをもった、螺鈿細工が施された本格的書院がある。襖絵は京都御所の御用絵師であった原在泉画伯(1849〜1916)による大和絵で、四季の風物が見事に描かれている。

御殿の南庭


御殿の南庭
明治の御殿再建の時に新たに作られたもの。一面に敷きつめた白砂と、杉木立や松を配した簡素な庭で、左近の桜・右近の橘が植えられている。

御殿の北庭
御殿本来の庭。南庭とは対照的な山水の庭園で、池泉廻遊式といわれる形式。元禄3(1690)年に加来道意・白井童松によって作られた。中央に心字池を配し、庭の中央には滝を設け、右手の築山に茶席、飛濤亭(ひとうてい)〈重要文化財〉が望める。

本坊表門(重要文化財)


本坊表門(重要文化財)
江戸初期の再興の時、京都御所より下賜された建物の一つ。門の形式から「薬医門」とも。柱や扉のみならず屋根の野地板にいたるまで一切が欅材という珍しいもの。

中門(重要文化財)
江戸初期の再興の時に新築したもので、当時の建築様式の典型。二王門からこの中門を経て金堂に至る一帯は、奥に行くほど高くなり、参道も広々としていて、仁和寺で最も雅やかな風情を見せているところ。

金堂(国宝)


金堂(国宝)
本尊の阿弥陀三尊像(国宝:宇多天皇が創建時に先帝の等身大の仏像を刻し本尊とした、平安前期を代表する作といわれる)を祀る本堂を仁和寺では金堂と呼ぶ。建物は京都御所より下賜されたもので、移築された時の変更も少なく、慶長年間に建立された「紫宸殿」の遺構だけあって、その姿や形、用材などのいずれをとっても見事なもの。平安時代の建築様式である「寝殿造」の様式を残すものとして、我が国の建築史上きわめて重要。



・大内山仁和寺
 京都市右京区御室大内
 市バス・JRバス・京都バス「御室仁和寺」バス停下車すぐ
 京福電鉄北野線「御室」駅下車徒歩5分
 9:00〜16:30
 拝観500円・霊宝館入場500円




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