金閣寺
(鹿苑寺)
臨済宗相国寺派

舎利殿
▲舎利殿: 鹿苑寺のシンボル、ひいては日本をイメージ付ける代表的な建物であり、広く「金閣」として知られている。現在の建物は昭和30年の復元による。3層?葺きの楼閣庭園建築で、初層は「法水院」(平安期寝殿造風)、中層は「潮音洞」(鎌倉期書院造風・観音を安置)、上層は「究竟頂(くつきょうちょう)」(禅宗仏殿風・阿弥陀三尊を安置)と呼ばれ、中層と上層に金箔が貼られている。形式の異なる層それぞれの、見事な調和が美しい。


西に衣笠山、背後に左大文字山をひかえた景勝の地。時の権力者はその地をいたく気に入り、絢爛豪華な御殿を建てた。背景に山の緑をしたがえ、湖面に映える金色の楼閣に、昔の人々はさぞかし圧倒されたことであろう。時を経て、「金閣」と呼ばれ親しまれるようになった今でも、輝かしさをたたえ、日本ばかりか世界中の人々を魅了し続けている。予定が許すなら、季節や時間を選んで足を運んでみてはいかがだろう。夕日にまばゆくきらめいた金閣、もみじの紅を映す金閣、屋根に雪を頂いた金閣…と、それぞれが違った表情を見せ、そのどれもが心を動かしてくれるはずである。

○金閣寺の歴史
室町幕府3代将軍足利義満により南北朝の合一にも成功し、世の中がひとときの平和を取り戻した、そんな時代。応永元(1394)年、一応の達成感を得た義満は37歳にして将軍職を譲り、翌年出家。応永4(1397)年には、衰微した貴族、西園寺家の別荘である北山第を譲り受け、新たに「北山殿」という山荘を造営した。黄金浄土世界の再現を望み、特に舎利殿は金箔をもって建物を覆った。これが金閣の始まりである。
壮大な御殿を造った義満は、対明貿易の勅使を北山殿で迎えることなどを行ったため、中国のさまざまな文化が北山に集まった。さらに後小松天皇を招き盛大な宴を開くなど、伝統的公家文化と新しい武家文化が融合して、ここに北山文化が花開くことになるのである。
義満は応永15(1408)年に51歳でこの世を去るまで北山殿に住まわった。義満の死後、4代将軍義持は遺言に従って、開祖に夢窓国師を勧請して禅寺とし、義満の法名(鹿苑院天山道義)より鹿苑寺と名づけられた。
応仁の乱では金閣など少数の建物を残して焼失してしまうが、桃山時代に相国寺の西笑承兌が復興に努めて、ほぼ現在の姿になったという。
太平洋戦争などもくぐりぬけ、戦後まで往時の姿をとどめていた金閣であるが、昭和25(1950)年に学僧による放火で全焼、残念ながら現在の金閣は昭和30(1955)年に再建されたものである。金箔の剥落が目立ったため、1987年には5倍の厚さの金箔に貼り替えられ、最近では平成15(2003)年3月まで屋根の修復工事を行った。
鹿苑寺内の建物にはひとつも国宝や国重文に指定された建築はないが、華やかな北山文化を想わせる金閣には多くの観光客が訪れ、平成6(1994)年に世界文化遺産に登録されている。

そうだ京都、行こう
そうだ京都、行こう

○金閣寺のみどころ
庭園・鏡湖池


庭園・鏡湖池
金閣を映す鏡となる鏡湖池の周りに、葦原島など大小の島々や、石を献納した大名の名がついている名石が配される。神仙思想に基づいて造られた室町時代の代表的な池泉回遊式庭園。かつては舟遊びを楽しむ場であった。衣笠山を借景としてその風景は美しく、国の特別史跡及び特別名勝に指定。

陸舟の松


陸舟の松
京都三松の一つに数えられ、船の形をしている五葉松。義満の盆栽から移植され、帆掛け船の形に仕立てられたといわれている。舳先は西を向いていて、西方浄土に向かう船に見立てたものとされる。

安民沢(あんみんたく)


安民沢(あんみんたく)
西園寺家の別荘であった時代からの遺構。
池の中央部にある島には、西園寺家の守り神といわれる「白蛇の塚」が建ち、往時の名残を感じることができる。

夕佳亭(せっかてい)


夕佳亭(せっかてい)
江戸時代に修復完成した金閣を後水尾上皇が訪れることになり、当時の鳳林和尚が茶人・金森宗和に造らせた。現在の建物は明治初期に再興され、平成9(1997)年に解体修理が行われたもの。茶室の前にかつて足利義政が好んだといわれる富士山型の手水鉢と石灯籠が置かれている。

不動堂


不動堂
本尊は弘法大師が作られたと伝えられる石不動明王で、霊験あらたかな秘仏として広く信仰を集める。節分と8月16日に開扉法要が行われる。

金閣寺垣


金閣寺垣
四つ目垣の変形種で、竜門瀑より夕佳亭に至る石段や、夕佳亭付近に用いられている竹垣で、縦も横も丸竹を使い、冠竹を用いているところがおもしろい。簡素ながら非常に趣のある竹垣。



・北山鹿苑寺(金閣寺)
 京都市北区金閣寺町1
 市バス「金閣寺道」下車徒歩3分・「金閣寺前」下車すぐ
 9:00〜17:30
 拝観500円




過去レジュメのページへ

inserted by FC2 system