祇園祭


▲宵山の長刀鉾

大阪の天神祭、東京の神田祭と並んで日本三大祭に数えあげられる祇園祭。 有名な山鉾巡行だけが祇園祭と思っている人も多いと思いますが、 実はほかにも行事があり7月中ずっとおこなわれています。
梅雨明けと共にやってくる山鉾巡行。夏の風物詩として大昔から京都の人々に親しまれています。


○祇園祭の歴史


■当初は厄よけの祈り行事■


祇園御霊会(ごりょうえ)と呼ばれ、貞観11年(869)に京の都をはじめ日本各地に疫病が流行したとき、 「これは祇園牛頭天王の祟りである」として、平安京の広大な庭園であった神泉苑に、 当時の国の数にちなんで66本の鉾を立て、 祇園の神を祭り、さらに神輿をも送って、 災厄の除去を祈ったことにはじまります。


■応仁の乱による中断■

当初は疫病のはやった年にのみ開かれていましたが、やがて毎年夏のはじめに開かれるようになります。 その後、平治の乱や応仁の乱の際には、中断されましたが、 応仁の乱の約30年ほど後の、明応9年(1500)には、町衆によって再興され、26基の山鉾が巡行したと伝えられています。


■豪華になったのは桃山時代から■

町衆によって復興された祇園会は、町衆自身の手によって創意がされ、 外観などにも京の伝統的な織物技術などを生かした装飾がほどこされるようになります。 とくに、当時は豪華な装飾がはやったこともあり、各山鉾が競いあい今のような豪華絢爛なものになりました。







○祇園祭のみどころ

■祇園囃子
駒形の提灯に明かりが灯り、鉾建てのおわった山鉾からは 祇園囃子が聞こえてきます。
こんちきちんとなるその音は夏の京都の風物詩です。

■宵山(7月16日)
各山鉾町では山鉾を飾り、祇園(ぎおんはやし)を奏でます。
各家においても家宝、屏風等を美しく飾ります(屏風祭)。


■山と鉾のちがい
例外もあるが、鉾は高さ約25メートル、重さ約12トンもあり、大きな木造の車がつけられています。
一方、山は台の上に人形や社を飾ったもので、人が担ぎます。


■山鉾巡行(7月17日)
山鉾は本来、疫病等の災厄をもたらす疫神を鎮めるため、依り代(よりしろ)として鉾や山を作り、町中を回ったと考えられます。 鉦や笛、太鼓で囃すのは、荒ぶる疫神(怨霊)を鎮めるためでした。

巡行のなかでもとくにみどころなのが「辻回し」。 鉾を交差点で方向変換させるというものだが、 10トンを超える重さの鉾を人の手で回転させるからすごい。

そして、山鉾の装飾を楽しみたい。「動く美術館」ともいわれるように 側面のタペストリーは、旧約聖書の寓話もモチーフにした柄のものもあり 古今東西をこえる美の結集です。からくりのついた山もあったりして山鉾は芸術品のかたまりです。


■山鉾巡行の順番(2004年)
巡行の順番はくじによってきまります。今年は次のとおり。

長刀鉾  太子山  伯牙山
孟宗山  函谷鉾  蟷螂山
綾傘鉾  木賊山  月鉾
油天神山 山伏山  占出山
菊水鉾  郭巨山  四条傘鉾
芦刈山  鶏鉾   霰天神山
白楽天山 保昌山  放下鉾
岩戸山  船鉾

北観音山 橋弁慶山 黒主山
浄妙山 鯉山   役行者山
八幡山 鈴鹿山  南観音山


▲山鉾の位置図


▲山鉾巡行のルート。時刻は先頭である長刀鉾の通過時刻
■山鉾の解説(主なもの)
1.長刀(なぎなた)鉾
鉾先には,疫病邪悪を払う長刀をつけているからこの名前がついています。 この鉾には毎年必ず山鉾巡行の先頭を行くことになっていて“くじとらず”としての異名をもちます。 残念ながらほんものの稚児がたっているのは今ではこの鉾だけです。

2.太子(たいし)山
聖徳太子を祀る山。他の山がいずれも松を立てているのに、この山のみが真木に杉の木を立てている。

3.伯牙(はくが)山
もとは「琴破山(ことわりやま)」と呼ばれていたように、御神体の人形は手に斧を持ち、琴を今にも打ち破ろうと見下している。

6.蟷螂(とうろう)山
「蟷螂の斧を以て隆車の隊を禦がんと欲す」という中国の故事に取材した山で、「かまきり山」ともいわれる。 特徴として、かまきりと御所車の車輪が動くなど、山鉾の中で唯一からくりがほどこされている。

7.綾傘(あやがさ)鉾
数ある山鉾のなかでも、踊りをもつというちょっとかわったのは傘鉾の2基。そのうちのひとつがこれ。

24.北観音(きたかんのん)山
「上り観音山」とも呼ばれ、現在は後の祭の山鉾巡行の先頭をいく曳山である。 真柱の真松は赤松で、松の左二の枝に鳩をとまらせている。山鉾巡行の時には見送の横から楊柳観音の象徴として後方に大きな柳の枝をさし出している。

32.南観音(みなみかんのん)山
「下り観音山」とも呼ばれ、後の祭の山鉾巡行の殿(しんがり)を務める曳山である。 南観音山独自の行事として、宵山の深夜に楊柳観音像を台座に縛り付け舁ぎまわる「あばれ観音」がある。

▲辻回しの様子  3回に分けて転換されることが美しいとされる



▲くじ改めの様子 巡行の順番がくじどおりのになって
いるかチェックするというのがくじ改め。チェックするの
はなんと京都市長




○コラム:ちまきと祇園祭の運営

祇園祭りにつきものの一つに「ちまき」があります。これは、食べられる「ちまき」ではなく、”夏越(なごし)の祓い”として 家の門口につるしておき、一年間の厄除け・災難除けとします。

ちまきや護符の売り上げは、祇園祭の貴重な収入源の一つとして大切です。
というのも祇園祭はとても大きな祭りなので、運営にはそれなりの費用がかかります。 各山鉾だけで、鉾で約1,000万円ほど、山で300-400万円ほどかかるという話です。
32基の山鉾を運営していくのに必要な資金から考えてみると、多大な費用がこの祭りの運営にかかっています。

この大変な費用を(ちまきを買うなどの方法で)手助けすることで、祇園祭の運営に参加し、「民衆の支える祭り」として守っていくことができればいいですね。 inserted by FC2 system